黄砂の影響について
先週ニュースになっておりましたが 黄砂によって「喉が乾く」「鼻が つまる」「黄色い鼻汁が増えた」と 受診される方が増えています。黄砂は 花粉ほど知られていませんが、耳鼻科 領域へ確実な影響を与えることが複数 の研究で示されています。飛来日には 咳・鼻水・鼻閉が増加するとの報告が あり①、黄砂粒子に硫酸塩・細菌成分 や金属などが付着して粘膜炎症を誘発 しやすいことも知られています②。
臨床的には、花粉症のような透明な 鼻水より、「黄色〜緑色の膿性鼻汁」 「頬の重さ」「鼻の奥の痛み」と いった副鼻腔炎症状が増える印象が あります。これは黄砂が線毛運動を 低下させ③、粘膜クリアランスが 落ちることで細菌が停滞しやすくなる メカニズムと一致します。
また、目のかゆみ・乾燥感・しょぼ しょぼ感を訴える方も多く、これは 角結膜への刺激および付着成分による 炎症反応が関与しています④。喉でも 「乾くような違和感」「イガイガした 咳」が増え、上気道のバリア機能が 一時的に低下することが要因とされて います。
では、黄砂がいつ飛んできているのか わかれば対策出来るわけです。そこで どうすれば飛散時期を知ることが可能 かを調べました。環境省の解析⑤や 気象庁観測⑥では、偏西風が明瞭、空 のかすみ、PM2.5 の同時上昇が揃うと 黄砂飛来の可能性が高まるようです。
黄砂は毎日起こる現象ではなく、条件 が整った日に集中します。症状が続く 場合はアレルギー薬だけでなく、 副鼻腔炎の治療や点眼治療が必要と なることもあります。気象情報と症状 を照らし合わせて早めに受診して いただくことが大切です。
【参考文献】
[1]Kanatani KT, et al. Environmental Research. 2015.
(黄砂飛来日には咳・鼻症状が増加)
[2]Watanabe M, et al. Atmospheric Environment. 2019.
(黄砂粒子付着成分による炎症メカニズム)
[3]Kim YH, et al. Int J Environ Health Res. 2020.
(線毛運動障害と副鼻腔炎様症状の関連)
[4]Ishizaki A, et al. Environ Health Prev Med. 2018.
(眼症状と黄砂暴露の関連)
[5]環境省「大気環境・黄砂対策調査報告書」(2023)
[6]気象庁「黄砂に関する観測と気象データ」
