声のかすれについて
季節の変わり目や風邪をきっかけに声がれ
(嗄声)を訴える方が増えています。嗄声
とは、声帯の振動が乱れて声がかすれたり
聞こえにくくなる状態を指します。日常生
活に支障が出ることもあり、原因の理解と
早めの対策が大切です。
声帯は喉の奥にあり、左右一対の薄い粘膜
で構成されています。空気が通る際にこの
粘膜がきれいに振動することで声が生まれ
ます。風邪の炎症、過度な発声、乾燥、逆
流性食道炎などで粘膜が腫れると振動が乱
れ、声がかすれる原因になります。
医学的には急性喉頭炎、声帯結節、声帯ポ
リープ、反回神経麻痺などが代表的な原因
です。反回神経は声帯を動かす神経で、ウ
イルス、手術後、まれに腫瘍で障害される
ことがあります。この場合、息が漏れるよ
うな声になるのが特徴です。
臨床では季節性の乾燥による粘膜障害もよ
く見られます。湿度が低いと声帯表面が乾 燥し、摩擦が増えて炎症が起こりやすくな ります。特に暖房の使用が増える時期は注 意が必要です。
声を守るために有効な対策として、①加湿
(湿度40〜60%)②長時間の大声を避ける
③こまめな水分補給④胸焼けがある人は逆
流の対策、が挙げられます。症状が1〜2週
間以上続く場合は、声帯病変や神経障害の
可能性があるため受診をおすすめします。
医学文献では、声帯への負担や炎症が続く
と微細な傷が慢性化し、声帯結節につなが
ることが報告されています。治療の基本は
炎症を抑える薬、声の使い方の調整、必要
に応じた音声治療です。
のどは毎日使う大切な器官です。無理を避 け異変を感じた時は早めのケアと受診を心 がけてください。
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